アイレックスのFAQ


良くお問い合わせをいただく内容についての回答と、一般的な知識です。

目次

ハコスカ フロント窓ゴムの互換性 

自動車屋さんは良くご存知だと思いますが、ハコスカのフロント窓は、HTのGT−Rだけがサイズが違うようです。下側の巾が数センチm広いです。
 お客様から、当店の4DR GT−R用のフロント窓ウェザーストリップゴムがHT GT−R用として使えないかとのお問い合わせがあったのですが、画像は、下が、4DR GT−R、上が、HT GT−Rです。
ハコスカフロント窓ウェザーストリップのサイズ比較  まぁ、ゴムですので、ある程度延ばすことは可能で、この程度ならそれなりに装着できるかと思います。形状的には上のコーナー部分がHTの場合、巾が広くなっていて、この部分は違っていますが、下のコーナー部分はほぼ同じですので、多分車に付けてしまえば、殆ど気付かないレベルでは?と思いますが、ハコスカのオーナーが無理して使うのはいかがかと思います。無理して引っ張って装着すると劣化も早いですし。
 結論的には、HTのGT、4DRのGT及びGT−Rの三種類はフロント窓は同じ寸法だと思います。もし違っていたとしても、ウェザーストリップゴムの取り付けに支障のでるような差ではないと言えます。

ウェザーストリップゴムの劣化 

自動車用のウェザーストリップゴムには、クロロプレンゴム(CR、ネオプレンとも呼ばれる)エチレン・プロピレンゴム(EPM,EPDM) のいずれかが良く使われています。前者は主にドア周りで、後者は外回りの窓ゴム用として使われることが多いです。
 主に外回りに使われるエチレン・プロピレンゴムは、概ね丈夫な性質を持っていますが、長期保存には十分な注意が必要で、以下の点に留意する必要があります。
(1)直射日光にあたらないようにするとともに通風の少ない冷暗所に保存すること。
(2)保管及び輸送中の温度は40℃程度以下とすること。
(3)油脂類あるいは酸、アルカリ等の有害薬品にふれないようにすること。
(4)オゾンの多い場所に放置しないこと(特に、モーター、溶接機等、高電圧を発生する機器の側厳禁)。
(5)水分の多い環境に放置しないこと。
(6)過度の積荷あるいは外部よりの力を加えたままで放置しないこと。
(7)防腐剤などの揮発性の薬品の近くにはおかないこと(シリコンゴム劣化は明白だが、他のゴムでも注意した方が良い)。
 いわゆる冷暗所なら比較的安心ですが、湿気にも注意が必要で、通常梱包の袋も、通気可能な材質か、通気の為の穴が開いています。以下、参考となるサイトのリストです。
ゴムとオゾン
タイヤは生もの
クロロプレンゴム(CR)の劣化
ゴムパッキンの経年劣化
 当時物の純正部品は魅力的な響きですが、ゴム類に関してだけは、当時物には十分な注意が必要です。上記のような点に注意して保管されていたものは10年以上経過していても全く問題ありませんが、そうでない場合、例えば湿気の多い場所に山積みにされていたようなゴム製品は概してお薦めできません。とりあえず使えても、その後長い間、良好な状態を保ってくれるかどうか、はなはだ怪しいからです。また表面に粉が吹いた状態になって、白っぽく変色してる場合もあります。これはゴムの製造過程で加えられた添加物が、経年変化で浮き出てきた もので、弾力や、強度の劣化はあまり変化してないことが多く、ある程度ふき取ることも可能ですが、再び出てくることも多いです。

窓枠用ウェザーストリップゴムの製造 

自動車用のウェザーストリップゴムと言えば、鬼怒川ゴム工業 ということになります。しかしながらとても大きな会社で、アイレックスなど相手にしてくれるはずもありませんし、万一相手にしてくれたとしても、小回りも効きませんし、ミニマムオーダーが巨額?ですので、当店の場合、海外にて製造しています。
 海外と言っても、中学校の社会科の教科書にも記載されていますが、タイ、インドネシア、マレーシア以外にまず選択肢はありません、、、と、単純には言い切れないのです。それは、ゴムだけでは済まないからです。
 レプリカ製造にあたって最大の関門は金型のコストです。べらぼうに高いのです。と言うか、金型自体元々大量生産を目的としたものですので、大量に製品を作るのであれば、そのコストはあまり問題にならないのですが、旧車パーツの場合、多くても数百止まりですので、この金型のコストが大きなウェイトを占めることになります。
 日本はずっと金型では世界のトップのシェアを持っていましたが、産業の空洞化の波を金型業界も受け、現在では、韓国、台湾などにかなり侵食され、最近は中国も随分シェアを拡大しています。鬼怒川ゴム工業が上海に事務所を開設しているのも、その辺の関係でしょうか?
 さて、ミゼットの窓枠ゴムのようなウェザーストリップゴムの場合は、押し出し製品一本で済みますので、型代(金型と呼ぶ人もいますが、正確には口金)も安いのですが、例えばハコスカの場合などは、コーナー以外の部分を押し出し製品で製造し、コーナー部は金型を作り、そこに押し出し製品を両側から挿入し、コーナー部に流動状態にしたゴムの原料を注入して製造しますので、どうしても3次元加工された 金型が必要 になるのです。

ピストンリングの順番 

 ミゼットのピストンリングも3本から構成されていますので、それぞれが、トップリング、セカンドリング、オイルリングの役割を持っていると思うのですが、正直に言えば、店長は正確なところは知っていません。

 ピストンの交換で重要な部品のピストンリングに関しては、RIKEN の、ピストンリング博物館 の内容が充実しています。3種類のリングの装着位置は厳格に決まっています。もし間違えますと、ピストンが壊れることもあるらしいので、十分ご注意ください(プロの整備士でも間違えたりします)。ちなみに、これはお客様から返送していただいたもので、お客様のミスが原因ではありませんが、こんな具合に破壊されたりします。 破壊されたダイハツミゼットのピストン  結論的、経験的には、ミゼットの場合3本の内で一本だけ色が違っていて、これをピストンの一番上(トップリング)に装着します。残りの二本の順番はどうでも良いです。これでちゃんと動いていて、実績があります。但し、通常は3本の内で形状の異なっているものはオイルリングのはずで、もしそうなら、これを一番下に装着することになるのですが、、、本当はこんな経験的ではなく、科学的な裏付けが必要なのでしょうが。
 ここだけの話?某大手製造メーカーの技術部に問合せたところ、電話にて対応していただけた担当者の方がなかなか慎重な方で、「電話だけでは断定できませんので、現物を送ってくだされば、調査します」と、これはこれで親切で、丁寧な対応をしていただけたのですが、結局面倒になってそのままになっているのが現状なのです。まぁ、対応していただけた技術者の方が、もしかすると生まれる以前のテクノロジーの製品ですから、電話だけで断定できないのも当然ではないかと思います。

 帝国ピストン(TP)の、「ご使用上の注意」には、
(1) TP の刻印をピストン頭部に向けて装着して下さい。
ピストンリング側面
(2) 装着前に溝を完全に洗浄して各シリンダの切口を120度になる様にして下さい。
(3) 組立間隙は、シリンダー摺動面の最下端で計ってシリンダー内径1吋について 0.001 〜 0.002吋になるようにして下さい。
 と、記載されています。

アイレックスで販売してるミゼットのブレーキパイプ 

現時点(2004.10.22)でセット物としては3セットしか在庫がなくなり、今後追加入荷することはかなり困難(2006.10に10セット程追加有り)かと思いますが、このブレーキパイプには若干ご注意点があります。
 ネジ規格が合わない場合だけでなく、ネジの径が若干小さいようで、それでも殆どのものはそのままなんとか使えますが、場合によってはしっかり締まらなかったり、殆ど締まらなかったりします。その場合は、ブレーキパイプの先端部の開いた傘上の部分をカットし、合わない雌ネジをはずし、これまで使っていた雌ネジと交換し、再度先端部を傘上に叩いて整形することでも使うことができます。また、ネジをきり直していることもあるようです。実は正直なところ、その実態は良く把握できておりませんが、お客様に尋ねますと、以上のような作業を行うことでご利用できています。
 商品の希少性をご考慮いただき、以上、ご購入前にご理解いただくと共に、ご注意願います。 ダイハツミゼット:ブレーキパイプの先端部(フレアナット部)
■新ブレーキパイプセット製作:2007.08.24
上記の物の在庫が少なくなりましたので、新規にミリネジで統一したものを製作しました。

ミゼットのブレーキパイプのネジの規格 

ミゼットが販売されていた当時はまだインチネジが主流でした。従いましてブレーキパイプもブレーキホイールシリンダーもインチネジでした。その後ネジはミリネジが主流となりましたので、その後製作されたブレーキホイールシリンダーはミリネジの場合があります。この場合ネジが合いません。ミリネジは直径が10mmで、インチネジは9.1mmですので、ホイールシリンダーにブレーキパイプのフレアナットを締めこんでいくことはでき、そのまま使っているお客様もいるようですが、理想的にはミリネジのフレアナットに交換すべきです。

 ミゼットの場合、1957年から製造開始ですので、製造された時期により、インチ、JIS、ISOの3種類があり、1965 年以降はISOで統一されているようです。ISOは、メートル法に基づいたもので、ミリネジとも呼ばれていて、現在自動車以外でも広く汎用的に使われているネジです。

 アイレックスで販売しているブレーキパイプは当時もののインチネジで、径は 9.49mm、ピッチは1.058mm です。と言ってもこれも実測からそのように推測しているだけで、確実な測定器で計測したものではありません。

 ネジの寸法には3次元の要素がからんでいますので、実は上記だけでは説明不足です。例えばネジの径ですが、日本では一般的にミリ単位で呼ばれていますが、インチネジは当然インチ単位になり、そして当社のブレーキパイプの場合ですと、mm に換算しますと、9.49mm となります。ちなみに、ホームセンター等で一般的に売られている10mm のピッチ 1.25mm のメスネジにはめますと、ある程度はめることができます。もちろん少し強い力をかけるとねじ山が潰れてしまいます。更に、ネジの規格にはこのようにピッチもからんできます。現在の日本(世界も含め)ではISOが主流ですが、メジャーな規格の範囲だけでも、ピッチにも何種類かあります。そして、ネジの径によりそのメジャーなピッチが異なっていたりもしてなかなかややこしい状態です。

 更に、インチネジにもねじ山の角度で2種類あり、ISOが主流となった現在でもある一定の範囲で使われているインチネジは、別名ユニファイねじと呼ばれているもので、ホームセンター等でも若干置いてある場合もあります。

 最後に、本題から少しはずれますが、ネジの歴史を簡単に古い順に、
1.インチねじ(ウイットねじ)
2.ユニファイねじ(これもインチねじ)
3.JISのメートルねじ
4.ISOのメートルねじ
 となります。

■ブレーキホイールシリンダー、マスターシリンダーとブレーキパイプの関係
 これもネジ規格が合わない場合があります。合わない場合は、ブレーキパイプの先端部の開いた傘上の部分をカットし、合わない雌ネジをはずし、これまで使っていた雌ネジと交換し、再度先端部を傘上に叩いて整形することでも使うことができるようです。また、ネジをきり直していることもあるようです。実は正直なところ、その実態は良く把握できておりませんが、お客様(車屋さん)に尋ねますと、以上のような作業を行うことで「使えたよ!!」と言わますので、もし、合わなくてもなんとかなっているようです。まぁ、ミゼットの場合、ブレーキ関係のパワーは現在の車に比べれば遥かに小さいですから、なんとかなっているのだと思います。 ダイハツミゼット:ブレーキパイプの先端部(フレアナット部)

ブレーキマスターリペアキット交換 

言うまでもないですが、ブレーキマスターは重要保安部品ですので、リペアキットの扱いにも十分な注意が必要です。重要ですので、念のため記載します。

1.シリンダーサイズの確認
 ノギスにて正確に測定し、サイズが同じであることを確認。
2.ブレーキフルード
 良質品(JIS規格適合品)を使用し、古いブレーキフルードは必ず交換。
3.シリンダ点検
 交換前にシリンダ内壁を点検し、傷や錆びがあった場合は、シリンダも交換。
4.シリンダ清掃
 シリンダー内壁を、ブレーキフルードできれいにふき取る(ガソリンやエンジンオイルなどの鉱物油では絶対に拭かない)。

 特に、旧車でバンバン走る人は、上記の点ご注意いただければと思います。旧車でバンバン走る?意外に結構いそうですね。1970年代のランサーで高速を100kmを遥かに超えて旧車イベントに来たオーナーを知っています。他にもいました。う〜ん、なんとも。

ピストンのオーバーサイズの選択 

新車時に約 0.05mm程の隙間で組まれているシリンダーとピストンも、走行距離が増えるに従って隙間が増え、この隙間が約 0.15mm 程度になると、オイルの膜だけでは内圧を正常に保つことが難しくなってきます。このような場合にシリンダー内部についた傷を取り除いて、表面をきれいにしてオーバーサイズのピストンと交換することになります。限界値の 0.15mm +研磨分となり、ピストンのオーバーサイズの値は 0.25mm 刻みになっています。

 上記のように、ピストンを交換しなければならないような状態の場合、通常はシリンダー内壁の傷も無視できない状態になっている場合が多く、また、ピストン自体が完全にシリンダー全方向に同一圧で動いている訳ではありません(サイドスラスト)ので、若干ですが真円ではなく、歪んでいると考えた方が正しいです。

 そのような訳で、通常はボーリングが前提となります。まず、シリンダー内径を測定し、それも何ポイントかで測定し、例えばその結果が 0.25mm 〜 0.35mm だった場合、オーバーサイズ(O/S)20 の物を購入していただき、ボーリングにてサイズがぴったりするように調整します。

 なお、旧車の場合、なにぶんにも古いピストンですので、寸法の誤差が若干現代のものより大きいですので、ボーリングする際は、購入されたピストンの外径を実測し、それに合わせてボーリングをするのが一番正確となります。いわゆる現物合わせという奴です。

 O/Sという表記については、ピストンには頭の部分に20と記載してあればこれはO/S20を表し、ピストンの直径は72mm+0.25×2=72.50mmとなります。
 但し、ピストンは頭部と、下部のスカート部分ではその径が若干異なっています。これは頭部の方が温度上昇が大きく、熱膨張がスカート部分より大きくなりますので、その分をあらかじめ見込んでスカート部分より僅かに小さい径になっています。実測しますと、71.90〜72.00mm程度です。
 一方、スカート部分を実測しますと、ピストンボスの部分は72.15mm程度で、その90度回転した位置(つまりスカート部)では、72.40mm程度で、若干余裕を持たせてあります。なお、ピストンボスの付近は金属材料を多く使っていて、その分熱膨張による膨らみが大きくなりますので、このようにピストンは若干楕円形になっています。

 更に少し紛らわしいのですが、ピストンメーカー(SAKURA)によっては、O/Sではなくmmで記載しているものもあります。その場合は例えばO/S20の場合は、0.50と刻印してあったりします。更にミスを誘発するような050という表記の時もあり、実はこれは、O/S50を表しています。
ピストンリングのパッケージのラベル ピストンリングのオーバーサイズの刻印


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